京都府が鴨川の「適正利用」

今日の京都新聞の一面にデカデカと載っていたのですが、京都府が鴨川の「適正利用」のために、「学識者らで構成する「鴨川流域懇談会」(仮称)を設け、生態系保全や放置自転車対策を含め、総合的な治水対策」をするための条例を制定することを検討し始めたそうです。

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2004091000161&genre=A2&area=K00

鴨川(賀茂川)沿いには、非常に多くの野宿者が生活しています。

今回の条例が「環境美化」や「適正利用」という名の下に、こういった野宿者を排除する方向に向かうことが考えられます。というか、山田−桝本体制下で、そういったことをしないというほうが考えられないと思います。

これまでも、「適正利用」という名の下で、公園の野宿者を排除してきました。

「鴨川流域懇談会」(仮称)なる非常にアヤシい懇談会でなされる議論も含めて、今後気をつけてみていくつもりですが、皆さんもどうぞご注目ください。

以下に京都新聞の記事を転載します。

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鴨川の総合対策条例制定へ
京都府 治水や景観など検討

 京都府山田啓二知事は10日の定例会見で、京都市中心部を流れる鴨川の清流を守り、適正利用を図るための条例の検討に着手する考えを明らかにした。学識者らで構成する「鴨川流域懇談会」(仮称)を設け、生態系保全や放置自転車対策を含め、総合的な治水対策の検討を始める。都市河川を対象にした都道府県の総合条例は全国でも例がないという。山田知事は新潟県福井県で起きた今夏の大規模水害に触れ「鴨川も豪雨時は下水が流入し、一気に増水する。府民の安全を確保するためにも森林の保水作用など流域の基礎調査を始めたい」と説明。9月議会の補正予算案に基礎調査や懇談会設置などの経費を盛り込む方針を示した。

 具体的には、鴨川流域の土地利用や雨水排水系統、雨水貯留候補地などを調べる。川岸の放置自転車も問題となっていることから治水や環境、景観など各課題の洗い出しや対応策も懇談会で検討する。知事は「段階的に取り組むが、放置自転車など河川の適正利用の対策はできるだけ早くしたい」とした。

 また山田知事は府内の40河川について堤防の緊急総点検や市町村との情報共有、避難誘導対策に取り組む意向も表明した。

 鴨川は流域面積が狭く、こう配が急なため増水しやすい。今年8月の集中豪雨では1時間に135センチと観測史上記録的な速さで上昇した。府は浸水想定区域図の公表や洪水予報システムを整備しているが、総合治水対策が課題となっている。

Italian film about Mideast conflict wins Locarno film festival

Italian film about Mideast conflict wins Locarno film festival

Sat Aug 14, 8:53 PM ET


LOCARNO, Switzerland (AFP) - An Italian film, "Private", depicting the absurdities of life for a Palestinian family in the Israeli occupied territories, won the top Golden Leopard award at the Locarno film festival in Switzerland.

Twenty-nine year-old director Saverio Costanzo's first fiction film won over the whole seven member jury, which included French director Olivier Assayas, British critic David Robinson and Hong Kong director Yu Lik Wai.


The best actor prize went to Mohammad Bakri for his lead role in "Private", at a ceremony in the lakeside southern Swiss town.


The film focuses on Mohamed, whose home is wedged in between a Palestinian village and an Israeli military base.


When a Israeli army unit takes over the house, Mohamed and his family refuse to budge. The family end up in the living room, while the soldiers set up camp on the first floor.


Inspired by a real story, Costanzo betrays the vivid documentary style he has been used to so far in his observation of the Palestinian family's frustration, fear and resistance towards the Israeli intrusion.


With US documentary maker Michael Moore's surprise win at the Cannes Film festival with "Fahrenheit 9/11" in May still fresh in people's minds, the jury was asked if it had rewarded "Private's" subject matter or its artistic merits.


"We are looking for good films, it could be a good film because it has a strong story, a strong political message," Robinson said.


Assayas told AFP that "Private" was rewarded for its "formal qualities, in view of its original style".


"The selection was strongly coloured by films dealing with political subjects in a somewhat unconventional way, we are obliged to choose from the films that have been selected," he added.


Japanese director Jun Ichikawa's "Tony Takitani", was given the Special Jury Prize.


Fifty-six-year-old Ichikawa's fifteenth feature-length movie plunges into sadness as it watches Tony meet and marry Eiko, a young woman who is obsessed with clothes.


After she commits suicide, Tony puts out a newspaper advert looking for a woman who will accept to wear the hundreds of clothes Eiko had collected in her wardrobe.


Demonstrating meticulous care in its choice of scenery and costumes, "Tony Takitani" casts a stark eye on the solitary life of a lonely and haunted man.


Maria Kwiatowsky and Pinar Ercin won a joint best actress award for their role in the German director Ayse Polat's "En garde", which tells the story of Alice, a 16 year-old girl with a hearing disorder that amplifies sounds.


After being discarded by her mother, she is placed in a Roman Catholic home, where she befriends other girls.


The German film was awarded the Silver Leopard along with the Iranian movie "Dastan Natamam" (Story Undone) by Hassan Yektapanah, about a film-maker who protects the group of illegal migrants he was filming.



The 57th Locarno film festival -- which cannot match the size of Cannes, Berlin and Venice but thrives on a global outlook and a talent-spotting focus on young works -- was deliberately turned towards current affairs this year.

Festival Director Irene Bignardi said the films selected for the official competition sought to "unravel our era, to understand the reasons for, and the mysteries of the unstable world we are living in".

Locarno's annual film fest is also renowned for its night time, open air showing of new big-screen movies and re-edited oldies on the southern Swiss town's Italianate old square, which is watched by thousands.

AFP通信より

クルド人家族座り込み

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いま東京青山の国連大学前で、クルド人の2家族が、地方裁判所が下した
難民認定申請却下という判定に対し、 7月13日から座り込み抗議行動を
行っています。
そこで、下記のHPを立ち上げました。

http://peace-online.com/kurd/

皆さんにご協力していただきたいのは、
(1) web上での署名
(2) このサイトへのリンク
(3) このMLの転載
です。

是非、趣旨を理解いただいて、ご賛同下さい。
宜しくお願いします

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リンク集

posse!
関西学生運動支援連絡会議(仮)
in posse
Reclaiming the Political
兵庫県民
立命館大学国際問題研究会
PACE(パーチェ)
えこらじ
回虫
zappa-tista for earthworms
反戦・反政府行動
辺野古への新基地建設に反対し、普天間基地の撤去を求める京都緊急行動へ!
英国と世界の反戦運動・労働運動
indymedia

パレスチナ政治犯たち数千名が無期限ハンストに入る

A Palestinian boy holds a banner in

タイトルのとおりです。
ハンスト(ハンガーストライキ)とは、その名のとおり、絶食して不正を訴える行為です。無期限ハンストとはつまり…。

現在、パレスチナではこの行動に対する支援活動が展開されているとのこと。日本のマスコミは例のごとく何も報道しませんが、ぜひご注目ください。

********以下、転送を歓迎します********

    ○○○ナブルス通信 2004.8.20号○○○
      http://www.onweb.to/palestine/
       Information on Palestine

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◇contents◇

パレスチナ政治犯たち数千名が無期限ハンストに入る

(長らくご無沙汰しました。初めて申し込んでくれた皆様、はじめまして。なかなか通信が出せなくて、ごめんなさい。諸事情によりローペースが続きそうです。予定外でしたが、ブログ用に書いていて、やはり通信で知らせたいと思ったことを配信します。ウェブにちゃんとあげる時間がなさそうなので、後でブログに貼り付けますが、以下は転載も歓迎します。[参考]の日本語のところまで含めて「ナブルス通信http://www.onweb.to/palestine/より」としてください。イスラエル政府への抗議もどうか、よろしく。封鎖は解かれたものの、ミサイル攻撃を受けているベイト・ハヌーン、相変わらずひどいラファやナブルスの状況など伝えきれていませんが、とりあえず、これを伝えたくて。編集部)
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>◇パレスチナ政治犯たち数千名が無期限ハンストに入る

この8月15日(日)からイスラエルの刑務所に捕らえられているパレスチナ人たちが非人間的な扱いをやめるように訴えて無期限のハンガーストライキに入った。

イラクのアブ・グレイブ刑務所で行われていたことと変わりがない──違うのは証拠の写真の有無だけ──と言われるパレスチナ人の収監状況を変えるために、イスラエルの刑務所に収監、拘束されているパレスチナ人がいっせいに無期限のハンストに入り、パレスチナ全土でそれを支援する行動が繰り広げられる。

パレスチナ人の政治犯、被拘束者の家族たちは「世界中の人権を守るすべて人々と友人たちへ」と題して、このハンストに対するサポートの呼びかけを出している。

「デモやビジル、囚人たちの苦境を訴える行動で、イスラエル政府にプレッシャーをかけてほしい。イスラエルに法を犯すことを止めさせ、パレスチナ人囚人を「基本的人権」が守られる人間として取り扱わせるようにしてほしい。パレスチナ政治犯の家族たちは、国際コミュニティの一員であるあなたがたに、イスラエルの刑務所に捕らえられている私たちの息子たち、娘たち、父、母、兄弟、姉妹に連帯するそのような行動への参加を望んでいます」

囚人たちが抗議している収監状況の一端は

・きまぐれで、無差別の殴打 (独房で、中庭で、また刑務所への移送中に)
・きまぐれで、無差別の催涙弾の発射 (独房への、また中庭への)および独房へ護衛官が銃を持ってはいることでの脅迫
・衆人環視の中で裸にする捜索による屈辱
・何ヶ月、ときには何年にも及ぶ過剰な期間「独房」暮らしを課すこと
・歌を歌う、大声で話すというようなささいな違反に対する恣意的な罰金、面会権の取り消し、独房暮らしの延長などのペナルティー
・子どもと大人の混在、政治犯と犯罪者の混在での収監
・病気の囚人への医療や治療薬支給の保留や遅れ
・健康を維持できない、飢餓線上に近い内容の食事
・面会の制限、妨害(家族の中の会えるメンバーの厳しい制限。面会に来た家族を裸にするチェック。家族に移動許可証を与えず、実質的に面会を阻む。面会に来た家族の顔が満足に見えず、声が聞けないひどい設備。など)
・以前はあった(高校の、大学の)学習を続ける権利の剥奪

等々

このような状況を訴えるハンガーストライキに対し、イスラエルのハネグビ内務相は「何日でも1ヶ月でもハンストするがよい。飢え死にすることもできる。イスラエルはこのような要求に応えることはない」と13日に語った。

パレスチナでは西岸地区のすべての都市にハンスト連帯テントを建て、座り込みを開始し、連帯のハンストやモスク、教会での祈りのあとのデモなどを準備している。26日にはマハトマ・ガンジーの孫であるアルン・ガンジーが主導する大規模なデモがラマッラーで行われ、9月4日はパレスチナ囚人に連帯する国際デーに設定されている。

政治犯、被拘束者の家族たちはイスラエル政府に過酷な取り扱いをやめ、国際および国内法を守るように手紙、電話、ファックス、メールで訴えることを呼びかけている。

イスラエル政府へのサンプル・レター:
http://www.palsolidarity.org/prisoners/sampleprotest.html
(上部に宛先、下半分にサンプル)

また、自国政府や議員たちへの働きかけも要請している。

イスラエル政府への申し入れはコピーを下記へ。
ハンストへの激励メッセージも同様に下記へ。
(グループや団体についての数行の説明があると良いとのこと)
alhureih@yahoo.com

さらに詳しいことは下記へ。
http://www.palsolidarity.org/prisoners
email: info@palsolidarity.org

To all Friends and Supporters of Human Rights around
the World:(家族たちからの支援の訴え、全文は以下に)
http://www.palsolidarity.org/prisoners/announcestrike.html

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[参考]
パレスチナ人への拷問の実態(日本語)
イスラエルもアラブ人を拷問」ジョン・ボレンダー
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/iraq0405b.html
イスラエルによる拷問」ムスタファ・バルグーティ
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/palestina0406.html

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・ハンストについての記事(英語)
http://www.haaretz.com/hasen/spages/464469.html
http://www.maarivintl.com/index.cfm?fuseaction=article&articleID=10670

・囚人への虐待・拷問関連リンク
For Links on Prisoner Abuse:

1. A PHRMG report that describes and substantiates
many of the prisoners' grievances:
http://www.phrmg.org/monitor1997/may97-7.htm

2. PHRMG Testimonials:
http://www.phrmg.org/monitor1999/mar99-visit.htm

3. General statement on Israeli prison conditions from
HRW: http://www.hrw.org/prisons/mideast.html

4. Urgent Appeals in specific cases by Amnesty Int'l:
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGMDE150512003?open&of=ENG-ISR
http://web.amnesty.org/library/index/ENGMDE151122002


5. http://www.scoop.co.nz/mason/stories/WO0406/S00087.htm

Petition to Israel High Court: Stop Prisoner Abuse
Wednesday, 9 June 2004, 9:33 am
Press Release: Physicians For Human Rights In Israel

6. http://www.ipc.gov.ps/ipc_e/ipc_e-1/e_News/ipc-prisoners.html
http://www.dci-pal.org/prisonweb/brief10.htm
Defense for Children International
Palestine Section
CHILD PRISONERS BRIEFINGS: 22 May 2002 No.10

7. News Reports on Prison Abuse and Torture

http://www.imemc.org/archive/prisoners.htm

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◇この文章は以下に掲載
http://nekokabu.blogtribe.org/entry-9eabb319be4cd17c342cc94c80da7408.html
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◇P-navi info  http://nekokabu.blogtribe.org/
[ほぼ毎日更新中。編集者ビーのblog。速報、インフォ、コラム]

時間帯により接続ができないことが続いています。8月末には引っ越し
予定。軽くなるので、お楽しみに。このところのトピック:

パレスチナ初のミュージカル上演!
・言葉には気をつけよう−−楽しくて役に立つ『占領用語集』
イラクの状況を伝える言葉
ガンジーのお孫さんがパレスチナで非暴力運動を提唱
パレスチナを題材にした映画、ロカルノ映画祭で金賞
・ガザからアテネパレスチナ人初の女性オリンピックランナー
・見えない標識─禁じられた道路
・「メッカ・コーラ」イスラエルに上陸
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パレスチナ・ナビ』 http://www.onweb.to/palestine/

難民とはだれか

難民とはだれか

これは、04年7月3日に京都大学で行われた「パレスチナ 響きあう声〜E.サイードの「提言」から〜」というNHKの特集番組の上映会の冊子に掲載されたものです。

                                  • -

徐京植(ソ・キョンシク)の著作に私が最初に出会ったのは大学に入って間もないころだった。在日朝鮮人のある友人が紹介してくれたのだった。その研ぎ澄まされた、しかし熱のこもった議論に、これまでには感じたことのない興奮と、衝撃と、苦々しい焦燥感にも似た「なにものか」を感じたのを、今でもまざまざと思い出すことが出来る。



私が最初に読んだのは、彼の三冊目の評論集である『半難民の位置から―戦後責任論争と在日朝鮮人』(影書房、2002)である。


この著作のタイトルにあるように、彼は自らの立場、つまり在日朝鮮人を「半難民」と規定する。徐が自らをそのように規定する/呼称する理由の一つに、80年代に入って叫ばれるようになった「国際化」という号令の中で、「難民」という問題設定が一般的に語られるようになったにもかかわらず、日本という国家が自ら作り出し自身の内部に孕ませている「難民問題」(つまり「在日朝鮮人問題」)に対してあまりにも盲目的(あるいは意図的に黙殺する)であったという批判を込めている。しかし、そのようなある種の「戦略性」を孕んだ理由とは別に、徐はパレスチナを代表する作家ガッサン・カナファーニーの小説「太陽の男たち」と「ハイファに戻って」を読み、自らが「(半)難民」であるという自覚を得たのだと語る。



つまり、徐はアジア大陸の東端の地・日本で、アジア大陸の西端の地・パレスチナを深く見つめることで、在日朝鮮人としての自分とパレスチナ人との間に存在する「何ものか」を読み取ったのである(1)。言い換えれば、徐はパレスチナという地/知を回路にして、歴史的存在としての自分の立ち位置――それはアイデンティティやポジショナリティ(立場性)という言葉と置き換えることができるかもしれない――を感じ取ったのであった。



パレスチナ」を自らへの「問い」として突きつけながら考える徐の「読み」は、E.サイードの著作を読むときにも、変わらない。徐はサイードが昨年の9月に他界したために急遽組まれた『現代思想』(青土社、03年11月臨時増刊号)の特集に収められた論文「真実を語り続けようとする意志」のなかで、「ディアスポラ文学」の「例外的な成功例」としてサイードの『遠い場所の記憶――自伝』(中野真紀子訳、みすず書房、2001)を挙げている。そして、「この物語は最初の一行から最後の一行に至るまで、共同体の自明性に安住していては本当には理解しえないはずのメタファーやウィットに満ち満ちている」がゆえに、「日本の読者にどの程度理解されうるかという点については懐疑的」だとしながら、同書の冒頭の一部を引いている(2)。



しかしつねに何よりも先にきたのは、然るべきありようから自分がいつも外れているという感覚だった。サイードという紛れもないアラブ系のファミリーネームに無理やり継なぎ合わされた「エドワード」という馬鹿げてイギリス風の名前。わたしがこれに順応する――いや、正確には、さほど不快を感じなくなるまでには、五十年ほどの歳月が必要だった。



そして、徐はこのエピソードに「うんうんと、つい頷いてしまうほどに」共感しながら、自らの立場とつき合わせる。



私が子供の頃、私たち一家は日本式の姓名を使っていた。ある時、中学に入学する時のことだが、兄たちの強い意向を受けて、朝鮮式の本名を使うことになったのだが、その時点で、私は「徐」という紛れもない朝鮮系のファミリーネームと、それに無理やり継なぎ合わされた「正志」という馬鹿げて日本風の名前を名乗ることになってしまったのである。…その後、…故郷の村の長老から助言を得て「京植」といういかにも朝鮮風の名前を新たにつけたのである。そうした手続きをとっていなかったら、私はいまも朝鮮風の姓と日本風の名、つまり歴史上の被支配者風の姓と支配者風の名という、植民地支配の記憶そのものといえるようなぎこちない姓名を使用していなければならなかったはずなのだ。/この話を煩わしいと感じる人は、姓名という記号を歴史的、政治的に形成されるものとして認識していないのである。すでにマジョリティの資質十分といえよう。(「真実を語り続けようとする意志」)



彼にとって、パレスチナという地/知は、決して「国境の向こう」のことではなく、まさに自らのことなのだ。同じマイノリティとして。同じ植民地主義の「ひき臼でひきつぶされる」(passing through the mill)存在として(3)。同じ国民国家の間隙にいる「難民」、あるいは「ディアスポラ」(離散)な存在として。



もちろん、パレスチナ/イスラエル問題、在日/日本人問題、あるいは朝鮮/日本問題には、それぞれが有する固有の背景がある。しかし、パレスチナをみつめる「日本人」のなかで、その問題を「国境の向こうの出来事」ではなく、徐のように自らへの「問い」として捉えているものがどれだけいるだろうか。――パレスチナでなくてもいい。イスラエルを、アメリカを、イラクを、朝鮮民主主義人民共和国を見つめるなかで、それが自らへの「問い」として回帰しているだろうか。「他者」の問題とされているものを「我々」の中に介入させること、あるいは「他者」の問題とされているものを「我々」の問題として捉えなおすこと。そして、他者/我々の間にある、この/(スラッシュ)を作り出すポリティクスや権力配置の構造を暴きだし、解体すること。それが今求められていることなのではないだろうか。

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(1)正確には、パレスチナから日本にいる徐への受容の過程で、パレスチナから一旦韓国を経由している[参考:徐京植「土の記憶」『「民族」を読む――20世紀のアポリア日本エディタースクール出版部、1994]

(2) p.80-81

(3)徐京植、ミシェル・クレイフィ「普遍主義というひき臼にひかれて」『新しい普遍性へ―徐京植対話集』影書房、1999、p322-323